気候変動の話をしよう⑩ 九州大学生 高田陽平さん
集団訴訟の原告に加わったり、国政選挙で争点化を働きかけたり、気候変動に警鐘を鳴らす若者の一人として注目される九州大生の高田陽平さん(21)。今を生きる人だけでなく、次世代においてさらなる危機となる大きな課題なのに、政策決定など公式の場で「当事者」たちの声が届いていない、と訴えます。絶望を感じつつも、いま見いだす〝活路〟とは。
気候変動への危機感を共有し、多くの人たちのアクションにつなげていく。そのためのコミュニケーションのあり方について、様々な立場の方から、意見を聞くシリーズです。
- ① お天気コーナーから危機感を発信 気象キャスター井田寛子さんの覚悟
――火力発電を手がける大手電力など10社を相手取り、10~20代の原告16人の1人として、地球温暖化対策の強化を求める訴えを昨年起こしました。
「明日を生きるための若者気候訴訟」と銘打ち、国際目標に合わせて二酸化炭素(CO2)の排出を大幅に減らすよう求めています。気候危機を人権問題として捉えた日本で初めての本格的な気候変動訴訟だと認識しています。
正直、今の日本社会においてこの若さで原告となることには、怖さや戸惑いもありました。でも、「気候危機で家族を持つことも不安だ」と感じる同世代の切実な声や、「若い世代のために自分はアクションしたんだと言える責任感」が勝りました。
気候危機を「人権問題」として訴える動きは、日本では少ないです。背景には、市民が気候変動の影響から保護される法的権利は認められないとされてきたことがあります。温暖化は地球規模の問題で単体の発電所から排出されるCO2は少ないとみなされてきました。
海外でも気候訴訟
一方、海外では活発になっています。個々の排出量は小さくても国や企業には科学的根拠に基づく排出削減を果たす責任があると判断された判決がいくつも出てきています。
例えば、オランダ最高裁は2019年、国際的な水準の温室効果ガス削減は国の義務だと認め、ドイツの憲法裁判所も21年、将来世代を保護するため政府に対策強化を求めました。韓国では10代の19人が、政府の温室効果ガス削減計画に31年以降の量的目標がないのは違憲だと訴え、昨年8月に認められたのです。画期的でした。
だから私は、日本でもチャンスがある、と思っています。
パリ協定を根拠に、各国は温…